あなたにも突然訪れる炎上…SNSを安全に使うための心構えとは?

日本のインターネット普及率は、平成23年度末の時点で既に79.1%を突破したといわれています。ほんの20年ほど前には、タモさんが高額なデスクトップ型のパソコンのCMでフレームの外から伸びる機械のアームでご飯を食べるという、送り手もまだまだパソコンの可能性を見出し切れていないことがはっきりと分かるようなCMが深夜帯に放送されていたというのに…。

時代の変遷とは、本当に目まぐるしいものですね。

今では市井の人々も思い思いの発言を、TwitterやFacebookなどで世界中に向けて発信することができる時代になって参りました。特にTwitterの場合は、140文字という絶妙な短さの投稿制限が、気ままに気軽な短文の投稿をするという風潮を形成し、これまでSNSに抵抗のあったエンドユーザーにも受け入れられるようになりました。「ご飯なう」とか「バイトなう」とか、誰もが簡単に発言をネット上にアップできるなんて、便利なものですね。

しかし、ネット上に公開した情報や文章というものは、世界中の誰もが閲覧することが可能であるということを深刻に捉えていない方もまだまだ多いようです。極端な話、身内や友人だけに伝わるような内輪向けの話題を投稿したとして、それが不特定多数の人々の目に付くとどう解釈されるのかについて、思慮が及ばないというケースもあるでしょう。

時にはそのために、全く想定していなかったトラブルが発生してしまうこともあるのです。これについては、ユーザー個人の責任ばかりとも言い切れません。ネットリテラシーについての考え方が社会全体で共有されないまま、先進化した技術やガジェットを使いこなせていないユーザーが発生しても無理はありません。

誰もが明日被害者に…炎上の恐ろしさとは

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炎上とは

SNSサイトとの上手な付き合い方を学ぶ機会がないまま、流行になびく形でSNSを気楽に利用したことで、後々に取り返しの付かない状態を招くというケースが増えてきました。最近になってこうした状態を「炎上」と呼ぶようになっています。まるで炎が燃え上がるかのように、不特定多数のネットユーザーの興味や怒りが個人や団体に向けられます。それは当事者だけではなく関係者にまで多大なるダメージを負わせます。

炎上の原因とは

炎上の原因は様々です。

勤務先でふざけて撮影した画像をアップしてしまい、それを一部のネットユーザーが問題視したことで大事になる場合もあれば、未成年の飲酒や喫煙の証拠となる画像や書き込みもまた、炎上のネタとして機能することになります。

最近では特に、有名な外食チェーン店の学生アルバイトたちが、ソーセージを咥えてみたり、冷蔵庫に入ってみたり、時には勤務時間外に無関係の商業施設で大騒ぎしてみたり、そうした様子をわざわざ撮影して、画像に状況説明を添えて投稿するというケースが増えていますね。

やんちゃをしたい年頃ですから、体の奥底から湧き上がる「ええじゃないか」精神が発奮されるのも分からなくはないのですが、そうだとしても決して公にしてはいけない状況です。いや、そもそもそんなことをしたいのであっても、普通は我慢すべきですね。ところが、これが便利すぎるツールへの依存といいますか、それとも機械に頼りすぎることで生物本来の危機察知能力の低下を招くといいますか、平気でアップロードしてしまう人が増えているのです。

炎上の何よりの燃料は、問題行為やモラルに反する画像でしょう。また、特定の個人や団体を貶める発言も炎上を招きます。これに加えて問題のある画像のアップロードや発言をしたSNSサイトに当事者の顔写真や所在地、アドレスなどの個人情報が記載されていれば、非常に危険な状態といえます。

炎上が人生を狂わせる理由

炎上を許してしまえば、その後の人生にも悪影響を与えることになります。
一度炎上してしまうと、不特定多数のネットユーザーによって書き込んだ情報が逐一チェックされ、匿名で掲示板などに晒される可能性も浮上します。最近では、この風潮はまとめブログなどの台頭によってさらに強まっています。まとめブログは閲覧者の興味を引く話題を優先して掲載しています。他人の不幸は蜜の味。炎上ネタは閲覧者の好奇心をくすぐる最高の材料であることを知っておきましょう。

そして、一旦流出した個人情報は、放置すれば永遠にネット上に残り続けます。個別の削除依頼では、到底拡散する速度について行くことはできません。レジの上で笑顔で開脚をした画像。ファッションセンターの店員さんを土下座させた画像。アイスクリーム用冷蔵庫の中で涼んでいる画像。あれもこれも、今後永遠にネットという広大な海に漂い続けるのです。

しかも、これらの炎上ネタは決して沈むことがありません。イメージしてみましょう。遠浅な海の、せいぜい沖合いでぷかぷか浮かんでいるだけ。ともすれば数ヵ月後、数年後に波に乗って浜辺まで打ち上げられ、再び話題になることだってあるのです。こんなに恐ろしいことが、他にあるでしょうか?

万が一にも炎上を許してしまった場合、沈静化させることはほぼ不可能です。名前を検索すれば炎上の原因となった発言が検索結果の上位に表示されるようになります。何より恐ろしいのは、見ず知らずの他人による誹謗中傷がひっきりなしに寄せられるということでしょう。「人の噂も七十五日」とはいいますが、常に情報が鮮度を保ったまま記録されることになるネット上では、さらに長い間尾を引くことに。現にインターネット普及黎明期に炎上騒ぎの被害に遭ってしまった数名のネットユーザーが、今でも定期的に話題になっているのです。

いやあ、炎上って本当に恐ろしいものですね!

炎上を防ぐためには

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今回のコラムを執筆するにあたり、僕は2人の炎上経験者にお話を伺いました。この2人が共通して、10分に1回のペースで口にしていたのが「ネットはもうこりごり」という言葉です。現在彼らは、既にパソコンを処分し、携帯電話からネットに接続することも辞めてしまったということです。1人はそんな状況を「僕の人生、オフラインになってしまいました」と弱々しく表現していました。僕はリアルで「うわぁ、このギャグ。どう返したもんかな…」と困惑してしまいましたが、それだけ炎上とは大きな問題なんですよね。

節度を持ったネットの利用が何より炎上を遠ざける!

では炎上を防ぐために、普段から何を心がけておく必要があるのでしょうか。現実世界での炎上を防ぐための最良の手段。それは火元の確認です。火の用心を心がけることで、火災は防止できます。ネットの世界でも同じこと。ちょっとした危機管理意識を頭の中に留めておくだけで、炎上リスクは実質0%にまで低下させることが可能です。

最悪の事態を避けるためには、まず日頃から過激な発言を控え、節度を保ったSNSの利用を心がけましょう。私たちが日常生活の中で遵守している、当たり前のモラルが炎上を遠ざけるのです。逆にいえば、これまで炎上被害に遭ってしまったネットユーザーは、この点についての見解が甘かったといえるでしょう。

誰もが簡単に使えるのが、人気のSNSの特長です。
そして、SNSを通じて同僚や友達と繋がっていると、どうしても時には内輪向けの話を書き込んでしまいがちです。ですが、そうした書き込みは、特に閲覧についての設定を弄っていない場合は不特定多数のユーザーにも発信されていることを絶対に忘れてはいけません。ふとした油断が一部のユーザーの悪意の琴線に触れ、ネットの恐ろしさを味わうきっかけになるかも知れないのです。ネット上には決してプライベートスペースがないことを知りましょう。

では最後に、炎上を避けるためのおさらいです。

  • ネットは思ってる以上に自由度は低い。発言は常識の範囲内で!
  • 友達同士では最高の話題になるような画像も、不特定多数のネットユーザーにとっては炎上材料!
  • 万が一炎上した場合の影響を抑えるためにも、個人情報の過度な記載はできるだけ避ける!

知人同士のメールや、「2ちゃんねる」などの大手匿名掲示板と同じ要領でSNSを使っているという方は、そろそろ自分のネット上でも安全を考えた方がいいでしょう。それほど炎上の危機は、私たちの身近な場所に潜んでいるのです。SNSに限らず、ネット上の便利なコンテンツやツールは、正しい知識で楽しく利用しましょう!

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